国内

「世紀末」と「終末」 字面は似ているが意味は全然違う

『ノストラダムスの大予言』は250万部の大ベストセラー

 大きな社会的現象によって広まった言葉により、その意味が曖昧になったり、誤用が重ねられることがある。評論家の呉智英氏が、『ノストラダムスの大予言』著者である五島勉氏の訃報をきっかけに頻出した「終末」と「世紀末」の誤用について解説する。

 * * *
 八月三十日付朝日新聞は、この六月当年九十一歳の高齢で亡くなった五島勉の著作『ノストラダムスの大予言』の社会的影響をふり返っている。一九七三年刊行のこの本は、一九九九年七月に空から恐怖の大王が降ってくると「予言」し大ベストセラーとなった。「なぜ受け入れられ、何を残したのか。終末を迎えぬまま20年経ったいま、改めて考えてみた」。オイルショック、公害の深刻化などの社会不安の風潮があり、やがてオウム真理教にも影響を与えることになった、とする。

 おおむね納得できる内容だ。しかし、私はここに言葉の誤用を付け加えるべきだと思う。言葉の誤用がノストラダムスやハルマゲドン(最終戦争)の連想を生んだ。そして今なおこの誤用に気づかない人が多い。

 産経新聞に「World Watch」という不定期連載記事がある。筆者は宮家邦彦。外交官を経て現在はシンクタンクの主幹を務めている。しばしば重要な知見が載り、私も愛読しているのだが、五月二十八日付には、おやおやと思った。

「今も世界では『思慮深いが根拠のない』楽観論と『世紀末的』悲観論が飛び交っており…」

 世紀末的悲観論って何だろう。

『週刊新潮』には日赤医療センター化学療法科部長の里見清一が「医の中の蛙」を毎週連載している。これも私は愛読しているのだが、九月十日号にはこんな一節を見つけた。

「五島勉『ノストラダムスの大予言』も、世紀末と相まって多くの絶望的若者を生み出し、オウム真理教が浸透する素地になった」

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン