自動車市場はSUV(多目的スポーツ車)人気が長らく続いているが、今年話題を集めているのが、気軽な街乗りにも便利な小型SUVのカテゴリーだ。各メーカーがこぞって新型車を投入して販売競争が激化する中、果たして勝者となるのはどのブランドか──。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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2020年の日本の新車販売の一大トレンドは、コンパクトSUVです。排気量が1~1.6リッターほどのエンジンを搭載する小さなSUVです。
2019年11月に発売開始となったトヨタ「ライズ」は、なんと1か月で約3万2000台もの受注を獲得。12月には9117台が登録され、乗用車ブランド通称名別ランキングで初登場2位に。7566台の3位「プリウス」を抜いて、1位「カローラ」の9186台に肉薄したのです。そして、翌月となる2020年1月と2月のランキングでは見事に1位を連続で獲得しています。SUVがランキングのトップを奪うという快挙を成し遂げました。
その「ライズ」は、1リッターのエンジンを搭載したコンパクトSUVで、じつのところ開発・生産しているのはダイハツです。ダイハツからは同じクルマが「ロッキー」の名で売られており、こちらもダイハツで一番売れる普通乗用車となっています。
そして、6月になると日産も同じくコンパクトSUV市場に、まったくの新型車を投入します。それが「キックス」です。こちらは日産としては、なんと10年ぶりとなる日本市場のブランニューカー。そして8月末には、トヨタから「ヤリスクロス」の発売が開始となりました。
昨年の暮れから言えば、「ライズ」「キックス」「ヤリスクロス」と、まったくの新型モデルが3車種も投入されたことになります。まさに2020年の新車情報の話題はコンパクトSUVを中心に回っていると言えるでしょう。