「結婚指輪お願いします!」。記者会見では芸能レポーターの梨元勝さんや須藤甚一郎さんが激しく突っ込む中、福岡翼さんは一風変わった質問でアプローチした。いまや定番となった“結婚指輪披露”の懇願も彼の発案だった。
1963年、小学館に入社した福岡は創刊直後の『女性セブン』に配属され、「朝丘雪路の結婚」などのスクープを連発。1970年代前半に映画評論家としてテレビ界に転じ、『奥さま8時半です』(TBS系)で芸能レポーターとしても活躍し始めた。当時から芸能レポーターとして活躍する前田忠明氏が振り返る。
「舌鋒鋭く迫る2人を尻目に、翼は『今日のヒールの高さは?』『なんでミニスカートなんですか?』と独特の視点で聞く。一見どうでもいいことだけど、相手の心を和ませる効果があるんだよね。アイツしかできない質問だった」
勉強熱心な一面も芸能人たちの心を掴んだ。自宅の書斎は映画関連本で埋め尽くされ、重量に耐えられなくなった2階の床が抜け落ちたこともあったという。1980年代半ばから芸能レポーターとして活躍する井上公造氏が語る。
「映画や舞台を年に数百本観ているし、スキャンダルの時だけでなく、撮影現場にも頻繁に顔を出すから、森光子さんや富司純子さんなどの大女優から絶大な信頼を得ていました。『福岡さんなら話す』と独占インタビューを取ることも多かった」