テレビ各局に午前と午後、8つのワイドショーが乱立した昭和時代と比べ、昨今はタレントの記者会見も稀で、芸能レポーターの出番は激減している。1988年、芸能レポーターの元祖だった梨元勝さんの誘いで『週刊女性』から転身した石川敏男氏が語る。
「昔はタレントの所属事務所に釘を刺されても、お構いなしに追い掛けていたし、切り込む質問もしていた。ワイドショーが高視聴率だったから突っぱねることができたのですが、今は局の編成部が注文を付けてくるので、芸能スキャンダルを取り上げづらくなっています」
制作費の削減も、現場に出づらい空気を醸成する。1982年にスポーツ紙記者から転身した城下尊之氏も、かつてとの違いに思いをはせる。
「昔は各ワイドショーにカメラクルーが6班いて、毎日稼働していましたが、今は会見があっても2つのワイドショー合同で1班出す場合すらあります」
時代も芸能レポーターに逆風が吹いた。インターネットやSNSが普及すると、芸能人が自ら結婚や離婚を発信するようになったからだ。だが、SNSでの発信は一方的になりがちになる。
同時に、会見の必要性を感じさせる出来事もあった。2016年のベッキーの不倫騒動では、報道陣からの質問は受け付けず、深々と頭を下げるだけという不自然な対応に疑問の声が噴出。直後に報じられた続報でイメージはさらに悪化した。1970年代後半から芸能レポーターとして活躍する前田忠明氏が、ベッキーの会見を振り返る。
「事務所の担当者にちゃんと質問させないと尾を引くよと助言しましたが、『方針が決まっているんだ』と言われました。会見ですべて話した方が次に繋がるものです」