年末の大掃除シーズンになると利用が増え、そのやりとりの様子が夕方のニュース番組などでしばしば特集されるリサイクルショップだが、今年は春から買取希望客で賑わっている。例年と異なる買取希望の殺到に戸惑うリサイクルショップ側の本音について、ライターの森鷹久氏がリポートする。
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コロナ禍でリサイクルショップに客が殺到──テレビのワイドショーなどで、最近よく見る「見出し」である。コロナ禍で外出が減り断捨離をする人が増えた、という理由でリサイクルショップを訪れる客が多い、など「確かにな」という説明がなされる。まるで賢い庶民の錬金術のような雰囲気で報じられているが、「売り手が多い」と買値は下がるため「より多くを安く仕入れられる」という業者側からの視点に立った解説がなされることはないのは「暗黙の了解」なのか。
予想外の買取額を業者から提示された客が、ホクホク顔で現金を受け取って帰る、というところまで放送されると、お茶の間では「おい母さん、いらないバッグとか指輪、なかったかな?」なんて声が聞こえてきそうでもある。都内の中古ブランド品ショップで働く森本容子さん(40代)は、コロナ禍で確かに客は増えた、と次のように説明する。
「私たちの商売は、世の中が不景気な時ほど安く買い、景気が上向いた時に高値で売り抜ける、というもの。最近、売りに来られるお客様については実際、断捨離という理由より、生活に困ってという人の利用が一番多いのが現実。コロナ以前と今では、買取価格は下がっているにも関わらず買取が減らないのは、景気が悪い状態が続いている証拠」(森本さん)
しかし、増え続ける在庫を見つめ、森本さんは懸念も示す。
「安く在庫が仕入れられるのは良いことですが、このまま吐き出す機会が来るのか、景気が上向きになるのはいつか、ということです。このまま景気がもっと悪くなれば在庫品は売れず、不良在庫になる。例えばコロナ禍になって、新幹線の回数券を大量に売りに来るお客さんがいましたが、買取を拒否しました。普段なら黙っていても売れるのですが、新幹線に乗る人がほとんどおらず、全く売れない。在庫の回数券だって、かなり格安の値段でも売れなかったんです」(森本さん)