「要はテレビ側が“批判してなんぼ”の精神より“批判されなくてなんぼ”の安心を求めるようになったということ」
そう指摘するのは、元日本テレビのディレクターで上智大学教授の水島宏明氏だ。
「政治を扱うなら、本来は局の政治部長クラスが官邸の動きなど深い解説をすべきですが、誤報が怖くてできない。官邸に食い込み、かつフリーランスの田崎氏なら仮に誤りがあっても『田崎氏の私見』で乗り切れます。局側がネット世論を気にしている側面もあります。最近は批判的な発言をするとすぐにネットで叩かれやすい。田崎氏に批判的な声があるとしても、テレビは『多数派』の世界ですから、政権支持率からもわかるように多数派の意見に近い田崎氏のほうが視聴者からしても良いということです」
モリカケ問題や新型コロナ対応などに斬りこむ際には、旧来型の批判的なコメンテーターと並んで必ず政権側の意向に寄り添うコメンテーターを登場させ「両論併記」にする。その姿勢はいまや徹底されているようだ。
※週刊ポスト2020年10月9日号