ホームドラマにおける「水と油」のテーマに苦心
自分が持っているテーマと、社会状況をとらえるのは比較的難しくなかった。しかし、ホームドラマの中にロマンチックな要素、つまりセックスを描き込むという設定に苦心したという。
「夫婦が日常的にセックスをする、というのは当たり前のことだろうと思うのですが、それまでドラマで描かれたことは一度もありませんでした。というのも、ホームドラマとセックスは、イメージがまさに“水と油”。それにあえて挑戦したものだから、かなり悩みましたね」
とはいえ、全編通じて、性的なシーンが多く描かれているわけではない。1作目はあくまで、3組の夫婦の会話劇がメインだ。そこにどことなく性的な雰囲気を醸し出せたのは、冒頭に、ある象徴的なシーンを入れたからだという。
「家庭の中にセックスは普通にある──このドラマでそれを印象づけるため、1作目1話の冒頭で、古谷一行さん演じる宏が朝寝ているところに、子供が飛び乗るシーンを描いたんです。朝勃ちしているところに飛び乗られたものだから、宏はもだえ苦しむ。それに気づいた、いしだあゆみさん演じる妻・久子は、大笑いをするんです。これは、性生活のある夫婦にだけわかるシーンなんですよ」
※女性セブン2020年10月8日号