“自分らしさ”を徹底的に追求する先に、何かが見えるのではないか──。横浜FCの三浦知良(53)がJ1最年長出場記録を更新した3日後の9月26日、カズが慕う田原俊彦(59)が埼玉県越谷市のサンシティホールで、『Love Paradise』ツアー3公演目となるライブを行なった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、客数は制限され、ライブ中にファンは声援を送れない。そんな状況下でも、田原は序盤から快調に飛ばして行った。しかし、終盤を迎えると、珍しく曲中によろける場面があった。MCに入ると、「捻挫したかもしれない」と呟き、自分の右足に向かって「ちゃんとしろ!」と叫んで地団駄を踏んだ。その後も、いつも通りにステージを右に左に動き回ったが、右足のステップはおぼつかないようにも見えた。
この状態で、最後まで“全力で歌って踊る”というポシリーを貫けるのだろうか──。
今年8月発売の新曲『愛は愛で愛だ』は、作詞・岩里祐穂、作曲・CHOCOLATE MIX、編曲・保本真吾という田原俊彦楽曲にとって初の布陣で制作された。同曲はオリコン週間チャートで17位になり、自身5年ぶりのトップ20入りを果たした。だが、その数字以上に、田原俊彦は新曲によって大事なモノを取り戻したと思う。
8月29日の配信ライブでは1曲目、ラストと2度も『愛は愛で愛だ』を歌唱した。コンサートツアーの1公演で新曲を2度も歌ったのは、2003年の『Dynamite Survival~I WILL SURVIVE~』以来、17年ぶりである。田原は『愛は愛で愛だ』に相当な愛着を感じているのではないか。
なぜか。その理由を考察していこう。
たどりついた“田原俊彦らしい曲”
新曲では、バックダンサーの振付は決まっているが、田原はフリーで踊る。事実、7月上旬収録の『人生、歌がある』(BS朝日、8月8日放送)、8月4日生放送の『うたコン』(NHK)でのダンスは違っていた。