つい口から漏れてしまう「ため息」。“つくと幸せが逃げていくよ”とたしなめられがちだが、ため息と同時に「ある動き」をすれば、老化を予防する効果が得られるという。
人の筋肉と血液はその70%が下半身に集中している。それゆえ下半身の衰えは深刻な問題だ。歩行が困難になるだけでなく、筋肉のポンプ機能の低下によって血流が悪化し、心臓疾患や糖尿病などさまざまな病気を引き起しやすくなる。
それを予防するポピュラーな運動がスクワットだ。“高齢で元気”な有名人のなかには、スクワットを実践している人が少なくない。
89歳まで舞台に立ち続けた森光子さん(享年92)は、1日に150回のスクワットを欠かさなかった。86歳にして現役ミュージカル女優の草笛光子や、70歳から肉体改造に取り組んできた鳥越俊太郎氏(80)も毎日スクワットを実践していると公言している。
だが、スクワットは足腰の強化に効果的な一方、膝を深く曲げる動作は高齢者にとって負荷が大きく、膝や腰を痛めるリスクが指摘されてきた。
そこで、順天堂大学医学部教授で「自律神経の名医」と呼ばれる小林弘幸医師が提案するのが「ため息スクワット」だ。
(1)両足を肩幅の広さに開いて立ち、両手をだらんと真下に下げる。
(2)背筋を伸ばしたまま、口から「はぁ~」とため息を吐きながらゆっくり腰を落とす。4秒かけて膝の曲がりが90度を超えない程度が目安。
(3)鼻から息を吸いながら2秒かけて(1)の姿勢に戻る。
これを1回3セット、朝晩やるだけでOK。ため息スクワットのメリットやメソッドを詳細にまとめた小林医師の著書『最後の日まで笑って歩けるため息スクワット』(集英社)は、多くのメディアで取り上げられた。その著書によれば、ため息スクワットのポイントは「膝に負担をかけないことと、深い呼吸」にあるという。
実際にどんな効能があるのか。以下、小林医師の解説を元に紐解く。