大きな衝撃を与えた、竹内結子さん(享年40)の訃報。国民的人気女優が自ら死を選んだことに、「なんで?」「そんなふうに見えなかった」と思い続ける人も多いだろう。大切な人や自分の命を守るため、僅かなサインを見逃さないよう、竹内さんの件から何か学び取ることはできないだろうか。
精神科医の片田珠美さんは、こう語る。
「国内では自殺した人の32.8%からアルコールが検出されています。海外での統計では37%です。自殺者の約3分の1が、自殺前に飲酒をしているのです」
しかし、お酒はリラックスしたり、楽しんだりするために飲むもの。なぜ、自身を殺めるようなことになってしまうのか。
「アルコールには『脱抑制』という、普段は抑えている欲求を解放する作用があり、攻撃性を高めます。それが自身に向かうと自傷行為や自殺といった行動として表れる。脱抑制のほかにも、アルコールには絶望感や孤独感を増幅する作用があることが報告されています」(片田さん)
芸能人には、特有の事情もある。
「われわれみたいな仕事をしている人は病院に行きづらいという面があって……」
連鎖する芸能人の自殺に、声を詰まらせながら、心療内科を受診しづらい現状を語ったのは俳優の石黒賢(54才)だ。竹内さんの死の翌日、『とくダネ!』(フジテレビ系)に出演し、俳優という仕事についてこうコメントをした。
「家で少し元気がないところからいきなり表に出て行って、カメラの前で、車でいうとトップギアにいきなり入れるようなもの。すごく心をヨイショと持ち上げる必要がある」
無理矢理にギャップを埋めることが心に負担をかけており、その自覚があっても病院へは行きづらいというのだ。片田さんは、華やかに見える俳優の仕事には受け身の側面もあり、それが有事の不安を増幅させた可能性を指摘する。
「俳優はオファーが来なければ仕事がありませんし、演技についても演出家や監督の指示に従うことが大半で、実際には受け身の仕事です。そうした受け身の職業は、新型コロナウイルス感染拡大のような事態が起きたとき、社会的な変化をほかの職業の人よりもダイレクトに受けてしまいます」
しかし、そうした受け身の仕事が逃げ場として作用していたと指摘する声もある。