芸能人が禁止薬物で逮捕されると、過去の交友関係や言動までが洗い出され、「次は誰か」と話題になる──9月8日に大麻取締法違反の容疑で逮捕された俳優の伊勢谷友介容疑者(44)のケースでも、同じようなことが起きている。
逮捕当日、警察に家宅捜索され、乾燥大麻約20グラムと吸引の際に使用する巻紙が見つかり、現行犯逮捕となった伊勢谷容疑者。その後の尿検査で陽性判定が出ており、本人も大麻使用を認めた。連日の報道では、伊勢谷容疑者による元交際相手への“DV疑惑”が暴露されるなどして耳目を集めていると同時に、その交友関係の広さも話題になっている。
こうしたニュースを見聞きするたびに多くの人が思うのは、「家族など身近な人が気づいて、やめさせられなかったのか」ということだろう。芸能人が禁止薬物で逮捕されると、その奇行ぶりがおもしろおかしく喧伝されるために「クスリをやっていたら、周囲の身近な人がさすがに気づくはずでは」と考えてしまう。
だが、実際はそんなに簡単なものではない。NPO法人「全国薬物依存症家族会連合会(薬家連=やっかれん)」の理事長を務める横川江美子氏は、自身も家族の薬物使用に悩んでいた一人であり、薬家連で家族からの相談を受けている。横川氏はこういう。
「本人は当然、隠そうとするから家族が気づくのは容易ではありません。大麻は臭いでわかるといいますが、実際に嗅いだ経験がなければ『これは大麻の臭いだ』とは気づけません。覚せい剤には臭いはありませんし。目つきや表情でわかるというのは重度の依存症の場合だけでしょう」
では、どのように問題が発覚するのか。横川氏が続ける。
「たいていの場合、仕事が続かない、あるいは学校に行けなくなるという形で問題化します。そうしているうちに様子が以前とは違ってきて、『かつての彼、彼女ではない』ということに気づきます。何かおかしいと思いながら過ごして、私たちの家族会に相談に来るまでに、みなさん何年も悩んでいるんです」