新型コロナの影響で、長らく営業自粛や開業延期に見舞われた宿泊業界。Go Toトラベルの東京追加やその他の観光需要喚起策もあいまって、ようやく業界にはポジティブな空気が流れ始めているが、すでにコロナ禍に耐え切れず閉館を余儀なくされたホテルも数多い。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が注目したのは、新旧ホテルの勢力図、明暗がくっきり分かれつつある港町「横浜エリア」だ。
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コロナ禍の反動ともいうべきか、ここにきて新規に開業するホテルが相次いでいるが、東京と近郊エリアをみた場合の注目トピックとして挙げられるのが、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」の開業である。カハラホテルといえば、ハワイ・オアフ島の名門ラグジュアリーホテルとして知られる。
半世紀以上にわたり世界の要人に愛されてきたホテルであるが、パシフィコ横浜近くという立地に開業した。当初2020年6月17日に開業を予定していたが、コロナの影響で開業が延期、9月23日に開業へこぎ着けた。
東京から近く、観光都市としてのポテンシャルが高い神奈川・横浜はホテル激戦区でもある。エリアによってホテルカテゴリーに特徴があり、カハラのある「みなとみらい地区」は高級ホテルが建ち並ぶイメージだ。
みなとみらいを象徴する“ホテル三銃士”
ランドマークタワー高層部にある「横浜ロイヤルパークホテル」、みなみらいの大観覧車前の「横浜ベイホテル東急」、ヨットの帆の形を模した「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」は、横浜のラグジュアリーホテルシーンをリードしてきた“みなとみらい三銃士”ともいるホテル群。そこにカハラが参戦した。
みなとみらいの発展を共にしてきたこれらホテルは、横浜のホテル界では伝統を確立しつつある存在である一方、ビジネス街である関内地区、京浜東北線の反対側となる伊勢佐木町などにはビジネスホテルが多く立地している。華やかな観光エリア然としたみなとみらいとは対照的なイメージだ。
とはいえ、夜の繁華街も含めディープな横浜の魅力も堪能できるエリアであり、そんな横浜も楽しみたいという観光客には人気だ。何よりリーズナブルなステイが期待できる。
ところで、コロナ禍前に横浜のホテル業界で脅威とされてきたのが、2019年9月20日に開業した「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」だ。横浜みなとみらいエリアに開業した全国チェーンブランドであるが、日本最大級の“2311室”という数字がニュースを賑わした。
業界内では「供給過剰に陥るのではないか」という指摘はあるものの、全国各地の観光地で関係者と話をすると、「東京至近であれたけの観光資源がある横浜は羨望の的」だという。