報道番組からワイドショー、スポーツ番組までにおいて、識者のコメントは“辛口”ではなくなってしまった。政府や大手芸能事務所の意向を汲んだ“応援コメント”をするコメンテーターも多い。ことスポーツにおいては、“応援”ばかりで技術的な解説がほとんどない“応援団スタイル”も目立つ。サッカー中継の松木安太郎氏(62)などがその筆頭格で、その独特の応援解説に当初は賛否あったものの、今では好感を持って受け容れられているようだ。
他のスポーツに目をやると、“ドル箱スポーツ中継”となっているフィギュアスケートは顕著だ。
「中継の解説者も番組のコメンテーターも選手の得意技や魅力を強調します。調子が悪くても『美しいポジションです』などと言うので、実際の採点との乖離がある。人気選手同士を比較して優劣を語ることも御法度です。ある元選手が、そうした比較をしてトップ選手を『芸術面を磨かないと勝てない』と分析して大炎上、抗議が殺到してテレビではほとんど見なくなりました」(フィギュア記者)
力士や協会の不祥事などでワイドショーを騒がせてきた角界は独特だ。
「NHKの大相撲中継は、メイン解説者は元横綱の北の富士勝昭氏と元祖技のデパート・舞の海秀平氏。超辛口で放送コードギリギリの解説をする北の富士を舞の海がうまくフォローするという構図が視聴者に受けています。現役親方も登場しますが相撲協会にとって都合の悪い親方は廃業に追い込まれるため、協会に批判的な解説者はなかなかいません」(相撲協会関係者)
外野にも相撲協会の応援コメンテーターはいる。代表格が“相撲コンシェルジュ”の肩書きで活躍するフリーアナウンサーの横野レイコ氏(58)だ。
2018年の貴乃花親方の退職騒動では情報番組をハシゴして、貴乃花親方に厳しく、相撲協会寄りの発言を繰り返しているとして有名になった。