中国の習近平国家主席が8月に全国民に向けて発した重要指示「食べ残し禁止令」を受けて、中国全土の31の省レベル(日本では県・政令指定都市に相当)では、レストランや顧客などに対して、食品ロスを戒める条例制定の動きが急速に進んでいるという。
首都・北京市に隣接する河北省政府では、11月から結婚披露宴などの宴席で、食べきれないと分かっている膨大な量の料理を出して、多額の料金設定を強要するレストランなどに対して、最高で1万元(約15万円)の罰金などを科す条例が発効する。上海市や広東省でも同様の動きが出ている。
中国各地では、「皿の上の食べ物を残さずきれいに食べ尽くす行動」という意味の「光盤運動」というポスターが目につく。そこには「勤倹節約」という標語も添えられている。
これらは、習氏が8月に出した、「飲食の浪費現象は深刻で心が痛む!」「皿の上の1粒1粒が、人々の苦労のたまものだと、誰が知っていることか」などの重要指示を徹底させるためのもの。全国の地方政府も食品ロス防止のための条例化に向けて、急速に動き出している。
中国内陸部の湖南省長沙市では客の体重によって、提供される料理が決まるという奇抜な条例案も提出されている。レストランに入ると、客はまず体重計に乗せられ、体重を量る。もしも40キロ以下の女性であれば、肉料理と魚料理の計2品しか注文できず、体重が80キロの男性の場合であれば、注文できるのは肉料理と魚料理に加え、もう一品の3品だけ……という形の条例案だという。
湖北省武漢市では、宴席における10人分の客の料理として、9人分しか出してはいけないという条例も検討されている。中国では宴席で出される料理の量が多く、食べ残しも多いため、このような条例が浮上したとのこと。しかし、客は人数分の代金を支払わなければならず、「不合理だ」という批判も出ている。