多くの企業が提出する「有価証券報告書」。そのデータから、1億円以上の役員報酬を得ている面々を抽出してみると、意外な「同業社長の年収格差」が浮かび上がる。この違いは、各業界の最新動向が投影されたものといえるのだ──。
自動車業界
自動車業界の前期営業利益を比較すると、トヨタ自動車は2兆4429億円と他社を引き離し、ホンダも6336億円の黒字なのに対し、日産自動車は405億円の赤字に沈んだ。
トヨタの豊田章男社長は報酬が4億4900万円。創業家で大株主でもあり、10億円以上の配当収入もあるとみられる。
注目なのは日産で、2019年12月に経営トップとなった内田誠社長兼CEOは前期の報酬が1億円未満の上に、今期はすでに報酬の減額等を打ち出している。『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。
「もともと日産はカルロス・ゴーン元社長の高額報酬に引っ張られるように他の役員報酬もどんどん上がる仕組みとなっていた経緯があるが、大きな転換点を迎えている」
一方で今年2月に退任した西川廣人前社長兼CEO、前暫定CEOの山内康裕氏には、退任時報酬などを含む4億円超が支払われている。
【図内、調査対象期間は2019年度(2019年4月期〜2020年3月期)とし、代表権をもつ取締役・執行役のうち最も役員報酬が高い者を記した。()内は前年度の役員報酬】
※週刊ポスト2020年10月16・23日号