コロナ禍の定額給付金が冷え込んだ消費を促し、エアコンやテレビ、冷蔵庫など大型家電の売り上げが好調だった家電量販店。だが、足元の業績を見ると安泰とは決して言い難い。ジャーナリストの有森隆氏が、カメラ系家電量販店の2強「ビックカメラvsヨドバシカメラ」の現状と今後についてレポートする。
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消費税増税、新型コロナウイルスが急激に消費を冷え込ませたが、家電量販店業界には、時ならぬ神風が吹いた。1人あたり10万円を支給する特別定額給付金である。外出自粛の反動による“リベンジ消費”がこれに加わり、大型テレビやルームエアコン、冷蔵庫、洗濯機などが爆発的に売れた。
テレビは50型以上の薄型テレビ、洗濯機は容量が「8kg以上」の大型機種に人気が集中。夏物商戦の主役は家電量販店の大型家電だった。
新型コロナは消費の構図を一変させたといっていい。都市部では駅近くから郊外型のロードサイド店舗が顧客を吸引し、大繁盛店になった。駅近神話の崩壊である。まさに劇的な変わりようだった。
理由は、新型コロナの感染拡大を受けた在宅勤務の増加だ。自宅に近い郊外店で、ビジネスユースのパソコンが売れに売れたのだ。テレワークのネット会議で見映えよくするために、顔をライトアップする照明器具が隠れたヒット商品になったほどだ。
家電量販店の出自は二つに大別される。一つは郊外の幹線道路沿いに展開する郊外型量販店。郊外型量販店は売上高で業界トップのヤマダ電機、3位のエディオン、4位のケーズデンキ(ケーズホールディングス)が代表選手だ。
もう一つは主要駅(ターミナル駅)前に巨艦店をドンと構える店。カメラ店が発祥であることから“駅前カメラ系”と呼ばれ、売上高8940億円のビックカメラと同6931億円のヨドバシカメラが双璧である。ここでは経営戦略が大きく異なるこの2社にスポットライトを当てることにする。