トランプ大統領のコロナ感染で前代未聞の展開を見せるアメリカ大統領選挙だが、トランプ氏はなかば強権を発動して早期に退院し、ホワイトハウスに戻った。しかし、一般国民であればどんな要職の者であろうと、感染拡大の危険がある2週間は隔離される。大統領だから許されると言わんばかりの行動には、アメリカ国内はもちろん、世界中から疑問と非難の声があがっている。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、トランプ氏の容態は陣営が言うほど軽くないのではないかと疑問を呈する。
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コロナウイルスに感染したトランプ大統領の動きは何もかもが唐突で、アメリカのメディアは右往左往している。コロナウイルスに捕まれば、2週間の間に様々なことが起きる。最悪のケースは死である。アメリカではすでに20万件を超える悲劇が起きており、老人やマイノリティに、死のケースは集中している。重症化率や死亡率が低い日本とは根本的に恐怖のレベルが違うのである。
アメリカや世界のメディアがつかめずにいるのがトランプ大統領の本当の容態である。医師団が記者会見を行っているが、肝心要の質問にはエリート医師たちは答えない。この沈黙は大いに示唆的だ。選挙を優先して本人の健康や感染拡大のリスクを後回しにすれば、大きな間違いを犯すことになるだろう。
トランプ大統領の唐突な行動の最たるものは、突然、入院していた病院を退却し、我が家であるホワイトハウスに戻ったことだろう。大統領選挙を戦うには、病院ではなくホワイトハウスにいなければならないと判断したと思われる。トランプ支持のFOXニュースなどは、その行動を勇気ある決断だと英雄視するが、それに付き合わされる医療スタッフやホワイトハウスのスタッフたちはたまったものではない。身勝手なボスの選挙のために命の危険に晒されるのである。万が一、ホワイトハウスでさらに感染が広がれば、そして重大な結果を招けば、トランプ氏の軽率な行動は厳しく断罪されることになる。