与党が「選挙をやれば圧勝だ」と解散風を煽るのは、菅政権の高支持率によるものだけでない。再スタートした野党第一党・立憲民主党への期待感が、あまりにも低い現実があるのだ。
「せめて、もう少し野党が変わってくれれば」と、国民の諦めムードの中、与党幹部も怖れる2人の“劇薬政治家”が立憲民主に加わった。当選17回の小沢一郎氏と当選14回の中村喜四郎氏だ。田中角栄元首相に選挙術を叩き込まれた2人には、「選挙に滅法強い」という共通点がある。
さらに、小沢氏は「壊し屋」と呼ばれるが、“選挙に勝つため”“政権を獲るため”に理念も政策もバラバラな政党を強引に結びつけてきた。また、実刑の過去を持つ喜四郎氏が生き残ったのは地元活動を徹底し続けてきたからだ。現在も、毎週土曜と日曜の2日間、街宣車で選挙区を回りながらマイクを握って有権者に生の声を届ける。
とはいえ、いくら剛腕GMや鬼コーチが加わっても、実力が“二軍”クラスの選手を短期間でエースやスラッガーにするのは無理がある。そこで小沢氏と喜四郎氏は、球拾いなど汚れ仕事も厭わない有能な“マネージャー”のスカウトに動いた。日本共産党だ。
「前回総選挙で共産党が候補擁立を見送って野党候補を一本化していれば自民党を逆転できていた選挙区が46もある」(政治ジャーナリストの野上忠興氏)
喜四郎氏は今年1月14日の共産党大会に初めて「特別ゲスト」として招待され、こう挨拶した。
「次の衆議院選挙で、小選挙区で100議席勝つためには日本共産党の力が必要です」