トラウマになった巨人戦でのプロ初勝利は、何かの縁かもしれない。10月7日の巨人戦(東京ドーム)で、7年目を迎えたDeNA平田真吾が通算130試合目の登板でプロ初勝利を挙げた。168試合目の柴田佳主也(近鉄)、142試合目の祖父江大輔(中日)に続いて、3番目の“初勝利最遅記録”となった。野球担当記者が話す。
「2013年のドラフト2位で入団した平田は1年目から開幕一軍入りを果たし、貴重な中継ぎとして、中畑清監督に期待されていました。しかし、プロ2試合目の巨人戦が平田の野球人生に大きな影響を与えたはずです」(以下同)
2014年4月2日のDeNA対巨人戦、8対3とリードした8回表、平田は5番手としてマウンドに上がる。先頭のホセ・ロペスに死球を与えると、続く阿部慎之助に一塁線を破られ、無死1塁、3塁に。坂本勇人に犠牲フライを打たれ、1点を返される。橋本到にセンター前、矢野謙次にレフト前に運ばれ、一死満塁となったところで降板。リリーフした山口俊も巨人の勢いを止められず、この回10失点で大逆転を許した。
「この日に先発したメジャー帰りの高橋尚成の復帰初勝利を消し、山口俊の調子も狂わせることになった。結局、高橋尚成は1勝もできないまま、このシーズン限りで引退。山口はリリーフ失格の烙印を押され、先発に転向。結果的には、その後の巨人へのFA移籍、メジャー挑戦と繋がりましたが、平田が受けたダメージは相当なものだったと想像できます」
1年目、平田は9試合の登板に終わり、即戦力の期待に応えられなかった。しかし、2年目の2015年、6月4日に初登板すると、ビハインドの場面を中心に6試合連続無失点を記録。リーグ戦で首位を走っていたものの、交流戦に入って大失速したチームの救世主になるかと思われた。中畑監督の信頼を勝ち取った平田は6月14日の日本ハム戦で、このシーズン初めて1対0とリードした場面で、プロ初先発の砂田毅樹の後を受けた。しかし、矢野謙次に逆転3ランを浴びて、またしても先発の白星を消してしまった。