新型コロナウイルスや台風・集中豪雨などの災厄が次々と襲う中、最も恐ろしい「大地震」の気配も静かに忍び寄っていた。本誌・週刊ポストで的中を連発してきた「MEGA地震予測」が、過去最大クラスの異常変動を記録。全国各地で警戒を強める必要があるという――。
地表にエネルギーが蓄積
2020年は大きな地震が極端に少ない異例の年となっている。震度5弱以上の地震は、昨年は9回、一昨年は10回起きたが、今年は3月に石川県能登地方で震度5強、6月に千葉県東方沖で震度5弱、9月に福井県嶺北で震度5弱の3回しか発生していない(9月末時点)。
しかし、地表の動きを細かく分析すると、数多くの異常が見られるという。測量学の世界的権威で「MEGA地震予測」を主宰する村井俊治・東大名誉教授が警告する。
「6月中旬~8月末にかけて、例年に比べて最も多い異常変動が確認されました。この時期は例年、異常変動が多くなる傾向にあるものの、今夏は特に多い。今年は大きな地震の発生が少なかったため、エネルギーが放出されずに溜まっていると考えられます」
村井氏が会長を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)の協力のもと、最新の「異常変動全国MAP」を掲載した。本誌・週刊ポスト2020年6月12・19日号に掲載した前回のMAPと見比べると、今回の異常変動点がいかに多いか一目瞭然だ。わずか4か月の間に異常変動点の数が7倍以上に激増している。
「MEGA地震予測」のベースとなっているのは、国土地理院が日本全国約1300か所に設置した「電子基準点」のGPSデータだ。
それを基に地表の動きを詳細に捉え、基準点の1週間ごとの上下動を示す「異常変動」、それより長期的な地表の上下動を表わす「隆起・沈降」、地表が東西南北のどの方向に動いているかの「水平方向の動き」の3つの主な指標を分析。その結果、顕著な異常変動や過去の地震の前兆との類似性が見られた場合に、大地震発生の可能性への警戒を呼びかけてきた。
さらに、村井氏は今年から自身の予測手法をインプットした学習型AI(人工知能)を本格的に導入。膨大な電子基準点のデータをAIが分析し、算出した危険度を予測に加味している。その結果、これから警戒すべき5つのゾーンが弾き出された。