放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、最近見たもの、会った人などからロッチ中岡の秘密、講談を演じた荒川良々などについてお届けする。
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「Go Toトラベル」から「Go Toトラブル」そして「Go Toイート」。世の中“Go To”だらけだけど大丈夫なのかと思って野球をテレビで見ていたら、巨人の投手の背中に「GO TO」の文字。なんだ、なんだ“Go Toジャイアンツ”もキャンペーン中なのかと思ってよく見たら、“GO TO”ではなく逆の“TO GO”。どうやら戸郷という選手らしい。まぎらわしい。そこで最近見たもの、会った人。
まずは片方の頭モジャモジャが子供達に人気の中岡(イッテQ)とコカドの「ロッチ」。中岡とはよく神宮球場で会う。ヤクルトファンの出川哲朗が私をみつけると、中岡を連れてやたらすっとんで来てあいさつするのだ。先日、局で会ったら「言いにくいんですけど……実は僕、阪神ファンなんです」「いつも出川と神宮にいるじゃん」「そうなんです。出川さんにはこの話、内緒でひとつ」。アハハ関西出身のロッチ、「二人共、ガラの悪い所なんですよ。路上で靴の片方だけ売ってたり、“賞味期限の切れたて”って書いてあるパンを売ってたり」。さすが笑いの本場。大傑作コント「試着室」は伊達じゃない。
宮藤官九郎が「本多劇場物語」を書きおろし、それを神田伯山が指導してなんとあの荒川良々が講談として演じるときいて26日、WOWOWで見たが大変結構な出来。よく役者達が分かった風な事ぬかして落語をやる事があるが、あれは役を演じててクサくなってイヤだ。野暮ってもんだ。軽みがない。その点、荒川良々は達者。会話主体の「落語」ではなく「地噺」ともいえる「講談」をセレクトしたクドカンの絶妙な味付け。本多劇場を創設した本多一夫の人生を、名作「中村仲蔵」をベースにアレンジ。釈台を叩くポポン、ポンも心地よい。