『半沢直樹』(TBS系)ではIT企業の社長・瀬名洋介役を演じた歌舞伎俳優・尾上松也(35才)。幅広い分野で活躍する松也とともに、その母である河合盛恵さん(64才)も注目を集めている。
『ぴったんこカン★カン』(TBS系)などのバラエティー番組に出演するたび、その豪快なキャラクターから「松也のママ、強烈すぎる……」と、SNSでも話題となっているのだ。
高校卒業後、女優として活動を始めた盛恵さん。1985年にはNHK大河ドラマ『春の波涛』への出演が決定。女優として大きく飛躍しようとした。そんな最中、交際中だった歌舞伎俳優・尾上松助(享年59)との間に子供ができたことがわかる。妊娠3か月だった。
そして誕生したのは長男の松也。1992年には、長女・真由香(27才。劇団新派に入団し、春本由香として活躍中)も生まれた。傍目からは公私ともに順調に見えた生活だった。
家出を決意するも松也の制止で踏みとどまる
盛恵さんが、当時を振り返る。
「結婚してからは、銀座7丁目にある松助の実家に、姑と夫の弟たちと一緒に住んでいました。夫の世話だけではなく、姑のお世話もしなければならない。またこの姑が“新橋つる子”という、界隈では名の知れた芸妓さんで、気が強いことでも有名でした。ささいなことで衝突を繰り返し、夫に相談をしようとしても、芸事で忙しい。夫はお酒を飲みすぎると乱れることも少なくなくて、ひとり悶々としていました。
子供たちはもちろんかわいいけれど、一時は女優として身を立てることだけを考えていた私が、なぜ、人のお世話ばかりしているんだろう。そして、どんなにお世話をしても、あれが足りない、これが足りないと、つらくあたられるんだろう……と、ある日、限界を超えてしまったんです」(盛恵さん・以下同)
盛恵さんはひとり、家を出る決意をし、身の回りのものだけを持ち、玄関を出ようとした。その後の身の振り方も決めておらず、ただ、鎌倉の実家に帰るとしか決めていなかった。真由香はまだ幼稚園児。松也も中学生とまだ幼かった。
「息子に『本当にごめんね。もうこのうちにはいられない。あなたたちも連れて行きたいけど、いまは無理。ママがちゃんと働いて、あなたたちを迎えにくるね』と言いました。すると息子は、まだ小さい娘をおぶって、『ママ、行かないで!』『こんなに小さい真由香を置いて出て行くのかよ!』と言うんです。
それでも、今日だけは出て行かせてくれと続けると、『とにかく、ぼくが高校を卒業するまでがまんしてくれ。ぼくが高校を卒業したら、真由香とママの面倒は必ずみるから、それまでがまんしてくれよ!』と。その言葉で涙が止まらなくなり……家にとどまることを決めたんです」
雨降って地固まる。その後は、松助とけんかしながらも仲直りを繰り返したり、姑をうまくかわしたりと、一家は仲よく、平穏に暮らしていたのだが──。