9月下旬、都内でのミュージカル舞台『Gang Showman』終了後に、満面の笑みであいさつしながら出てきたのは、タレントの中山秀征(53才)。スタッフだけではなく、劇場の外で遭遇した一般のファンたちにも、マスク越しに愛想を振りまきながらさわやかに去っていった。
芸歴38年。テレビ番組制作会社のベテランディレクターは「中山さんほど安定して活躍し続けているタレントは、なかなか珍しいですよ」と話す。
1982年に役者としてデビューし、1985年からはお笑いコンビ「ABブラザーズ」を結成。コンビこそ1990年代に入ると自然消滅したが、中山は俳優と司会業で一人立ちした。
「中山さんは、松本明子さんと飯島直子さんとの『DAISUKI!』(日本テレビ系)などレギュラー番組を多数持っていたので、ちょうど上京してきたダウンタウンや、その下の今田耕司さん、東野幸治さんらにライバル視されていました」(前出・ベテランディレクター)
ただ、中山本人は「自分は、もともと“芸能人”になりたかっただけで、漫才やコントの“芸”があるわけじゃないので、最初から彼らには絶対勝てないと思っていた」と語っている。
スポーツ紙のインタビューでは「子供のころからお調子者で、テレビの中の楽しそうな雰囲気に憧れたんです。だから、芸を極めるとかではなく、生放送にもうまく反応し続けて、何だか楽しそうな番組だなって雰囲気作りをすることが、僕の持ち味だと思ってきました」と明かしていた。
ABブラザーズの元相方が、1998年に出版した暴露本的な私小説『芸人失格』では「愛想だけのキャラクター」と書かれたが、「それこそが自他ともに認めるヒデさんの才能だったのです」(前出・ベテランディレクター)