8月28日、アメリカの女優で歌手のセレーナ・ゴメスとのコラボで発表した新曲『Ice Cream』が、発売初日にiTunes「ワールドワイドソング」1位を獲得したのが、4人組ガールズグループのBLACKPINKだ。
MV(ミュージックビデオ)のYouTubeでの再生回数は41時間で1億回を突破、YouTubeの登録者数は5000万人を突破。BTSの3800万人をはるかにしのぐのだから驚きだ。
BTSの『Dynamite』同様、全編流暢な英語で歌われており、狙っているのはもちろん世界市場だ。
韓国銀行の発表によるとBTS、BLACKPINK2強の活躍が追い風となり、韓国の2020年6月の音響映像および関連サービス収支(K-POP音源、映画・テレビ番組を外国に販売して得た収入から、外国に支給した金額を取り除いた数値)黒字は1840万ドル(約19億5100万円)だった。
3大芸能事務所の株価上昇
韓国にはもともと、東方神起や少女時代、EXOなどが所属するSMエンターテイメント(以下SM)、2PMやTWICE、12月に本格デビューするNiziUが所属するJYPエンターテインメント(JYP)、BIGBANGやBLACKPINKが所属するYGエンターテインメント(YG)の3大芸能事務所がある。
BTSが所属するBig Hitは、数年前までは中小規模の芸能事務所だった。BTSが世界的に活躍するいまは4大大手の一角となったと言えるが、元祖3大芸能事務所もこのコロナ禍にもかかわらず、軒並み株価が上昇しているのだ。8月17日付けの中央日報によると、8月に入り、JYP、YG、SMの株価はそれぞれ21.78%、19.16%、15%上昇しているという。
実際3月にはコロナの影響で公演の売上高が大幅に減り3社とも株価が1万ウォン(約898円)台に急落したが、外国人投資家の関心が集中し、その後じわじわとコロナ以前の水準まで回復したという。YGとJYPに至っては、BLACKPINK(YG所属)の台頭とNiziUのブレイクもあり過去2年の最高値を更新した。
韓国のエンタメや歴史、文化、社会、兵役問題などに精通する作家の康熙奉(カン・ヒボン)氏は次のように語る。
「BTSやBLACKPINK、ドラマの『愛の不時着』や『梨泰院クラス』のような優秀なコンテンツさえあれば、外国投資家が韓国エンタメに投資するのは当たり前でしょう」
また通常の公演ができない代わりのオンライン公演もK-POPがいち早く取り入れ、有料ライブ配信で収益を得るというコロナ時代の新しいエンターテインメントビジネスの成功例を世界中に知らしめた。
オンライン公演はファンにとってもメリットは大きい。チケット代は、例えば東方神起のオンライン公演は一般3700円(税・手数料込み)、ファンクラブ会員3000円で、通常の日本公演のチケットが1万2000円とすると4分の1から3分の1程度の価格。
韓国まで好きなアーティストの公演を見に行く楽しみは海外ファンにとってはかけがえのない喜びだが、ライブチケットを全世界のライバルたちを相手に争奪する苦労や、席の良し悪しで一喜一憂することなく、好きな場所で思い思いに、実質最前列でライブを楽しむことができるのだ。