昨年7月、日本が韓国に対し、フッ化水素などの3品目の輸出優遇措置を廃止したことをきっかけに始まった日本製品不買運動。年をまたいで長期化していたが、ここにきて変化の兆しを見せ始めている。
当初、運営会社の役員が「韓国での不買運動は長続きしないだろう」という趣旨の発言をしたことが災いし、かえって不買運動の直撃を受けたのがユニクロだ。韓国事業の2019年9〜11月期の既存店売上は大幅に減少し、営業赤字に陥った。
今年に入ってからは新型コロナの流行が追い打ちをかけ、ダメージが拡大。ユニクロは韓国で186店(昨年末)を展開していたが、今年9月30日時点で164店にまで減っている。姉妹店のGU(ジーユー)は8月までに完全閉店した。ユニクロが発表した「2020年8月期第3四半期 決算サマリー」には、今年3月〜5月期について〈韓国、その他アジア・オセアニア地区は大幅減収、営業利益は赤字〉とあり、相変わらず厳しい状況ではある。
韓国におけるユニクロの今年前半の苦境について、不買運動による影響と、コロナ禍による影響のどちらが大きいかを判断するのは難しい。が、実はコロナ禍以前に、人気回復の予兆があった。
韓国の調査会社「IGAワークス」によると、ユニクロアプリの月間利用者数は、2019年1月の時点で約71万人だったが、同年7月に不買運動が始まると減少し、8〜9月には約30万人未満にまで減った。しかし、韓国進出15周年記念セールの実施で上昇に転じ、11月には上半期と同水準の約68万人まで回復していたという(聯合ニュース2020年9月28日付)。その後、再び40万人前後まで減少したというが、アパレル業界は一様にコロナの直撃を受けているので、ここは判断が難しいところ。少なくとも、アプリを通じたネット通販であれば、店に入るところを他人に見られずに商品を購入できるので、不買運動が激化するなかでも、買いたい人はネットを利用していたと考えられる。
リアル店舗にも変化があり、ユニクロは閉店を進める一方で、先月下旬に釜山市内に新店をオープンしたのに続き、ソウル近郊の安城市に今月7日開業した大型ショッピングモールに出店。今年4月から計4店舗を新規出店している。ここにも回復の兆しが見て取れる。