コロナ禍の経済対策の一環として「プレミアム付き商品券」の発売が全国各地の自治体で実施されているが、思わぬ騒動を招いているケースが続出している。10月1日に発売した東京都三鷹市では、発売当日に長蛇の列ができて、予定数がすぐに販売終了。購入できなかった市民から不満の声が相次いでる。いったい、どこに問題があったのか。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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10月1日朝、三鷹市内の各所で異様な光景が見られた。娘を最寄りの駅に送っていた男性がこう証言する。
「朝7時40分ごろ、近くの郵便局の前を通りかかったら、物凄い行列ができていました。数百メートルはありましたね。何事かと思って見ると、先頭で職員が整理券らきしものを配っていました。
娘に『アイドルかなにかのチケット販売かなぁ』と話しかけたのですが、『並んでいるのお年寄りがほとんどよ。それに郵便局でこんな朝から販売するわけないじゃない』と一蹴されました。駅からの帰り道、違うルートを通ると、別の郵便局でも長い行列ができていて、職員に詰め寄っている人もいました。明らかに密の状態でした」
「プレミアム率50%」に朝5時から並んだ市民も
行列の目的は三鷹市の「プレミアム付商品券」だった。この商品券、プレミアム率が都内最高の50%という超お得券で、市が事前に発行した「広報みたか」でも〈1人最大3万円の商品券で4万5000円分のお買い物!〉と大々的にPRしていた。
発行総額は15億円で、デジタル商品券(10億5000万円)と紙商品券(4億5000万円)の2種類。1人当たりの購入限度額は3万円。家族の分を含めて1人で3人分まで購入可能となっていた。
デジタル商品券はネット販売だが、紙商品券は窓口販売だった。大勢の市民が並んだのは紙商品券の購入のためだったのである。市内20か所の郵便局などの販売所で同じような光景が見られたことになる。朝5時過ぎから並んでいた人もいたという。