先月発足した菅内閣の女性閣僚は2人。これを日本で女性の社会進出が遅れていることの証左だと批判する声もある。ジェンダー問題に詳しい『「男女格差後進国」の衝撃』の著者・治部れんげ氏は、LGBTの人々も働きやすい職場づくりを支援するNPO法人「虹色ダイバーシティ」の代表・村木真紀氏との対談で、日本の「男社会」の特徴を指摘。それは社会現象にもなったあの人気ドラマでも描かれていた。
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治部:菅内閣の閣僚を見たとき、自分で自分にショックを受けたんです。実は私、何とも思わなかったんです……。知り合い、それも特に男性が「高齢男性ばかりでおかしいだろう」って言うので、そこでやっと「あっ、そうだった!」って。そもそもこれまで見慣れ過ぎているので、ノイズキャンセリング機能みたいな感じでスルーしちゃったんです。そのあと、フィンランドの内閣の写真など比較対象が目に入ると、「やっぱり日本の閣僚の男女比は当たり前じゃないな」って実感して。反省しています。
村木:フィンランドは閣僚も若い女性が多いですし、世界最年少の首相であるサンナ・マリン氏は、女性同士のカップルの家庭で育った女性だったりもしますよね。
治部:素敵ですよね。子どもと一緒に「ほかの国はどうなってるんだろうね」って言いながら検索してみたんですよ。そうしたら、トランプ政権ですら、まあまあ女性もいるし、カナダなんかは本当に多様で、ターバンを巻いた方もいて。
村木:台湾のIT大臣やベルギーの副首相はトランスジェンダー女性です。ベルギーだけでなく、欧州では首相や閣僚がLGBTというのは珍しくありません。ジェンダーやセクシュアリティに関係なく、能力のある人が選ばれてるんですね。
治部:大人気だったドラマの『半沢直樹』。色々な記事が既に出ていますが、個人的におもしろいと感じていたのが、銀行と政治の社会が露骨な「男社会」として描かれていたこと。その中で江口のりこさんが演じた国土交通大臣は白いスーツを着て、いつもしかめっ面をしている。彼女の表情って完全に幹事長と同じ。あと、政府系金融機関で“鉄の女”と称される優秀な女性の方が出ていて、その方も基本、無表情なんですよね。ダークスーツで無表情。男社会に入っていく本当に数少ない女性を、かなり上手く描いていたと思います。井川遥さんや上戸彩さんのような「ナチュラル」な女性との対比は、今の日本の姿そのまんまだと感じました。