トランプ大統領の新型コロナ感染で、いよいよ再選は絶望的に……という大方の予想を一切信じないのが、熱狂的なトランプ信者たちだ。ジャーナリスト・横田増生氏が拾い上げた彼らの肉声を聞けば、米国の絶望的な“分断”が浮かび上がってくる。
「大統領が圧勝する」
「トランプ大統領が再選する確率だって? 100%に決まっているだろう。世論調査でバイデンがリードしているという数字は、4年前と同じで、単なるフェイクニュースだよ。第1回の討論会も、大統領は見事だっただろう。司会者が、大統領の発言を何度も遮ったのがいただけなかったけれどね。11月は、大統領の圧勝で終わるよ」
そう話すのはミシガン州在住のロブ・コーティス(55)だ。2016年の共和党大会でトランプ(74)が大統領候補に指名されると、それまで働いていた映像制作会社を早期退職し、トランプの私設応援団長となることを決めた。
ピックアップトラックで「TRUMP UNITY(トランプで団結)」と書かれた看板を載せた長さ15メートルの荷台を引っ張ってアメリカ中を走り回る。運動資金は、支援者から集めた1万ドル以上の寄付で賄っている。
トランプの支援者集会や、トランプの訪問先に取材に行くと、必ずこうした支援者に出くわす。
8月下旬にペンシルバニア州で開かれたトランプの支援者集会で出会ったエドワード(65)もそんな1人だ。米陸軍に所属し、ベトナム戦争に2回、合計8年間従軍し、退役後の会社勤めも終え、今は引退の身だという。
そのエドワードに、17万人を超える(当時の数字で現在は21万人超)死者を出した新型コロナに対するトランプの対応について訊けば、
「新型コロナに関してトランプは、最善の手を打ったよ。それに、新型コロナの死者が17万人を超えているというのはウソだよ。CDC(米国疾病対策センター)の発表だって? フェイクニュースだ。
フロリダでは交通事故で死んだのに、解剖後にコロナに感染しているのが分かり、コロナによる死亡者にカウントされた例もあっただろう。今の発表されている数字は、現実より大きな数字になっているんだ。なぜかって? コロナによる死者数や経済的な打撃が大きいほど、トランプの再選に不利に働くからさ。すべてが政治なんだ」