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異色の韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』が韓国人を癒す理由

日韓で話題を呼んだ韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』(写真/Netflix公式ホームページより)

 韓国ドラマ『愛の不時着』が、コロナ禍の自粛生活を背景に、Netflixで一大ブームを巻き起こしたのは約半年前。人気は未だに衰えておらず、現在もNetflix「今日の総合TOP 10(日本)」では常にランクインし続けている。他にも、『梨泰院クラス』や『キム秘書はいったい、なぜ?』など数々のヒット作が配信されているが、その中でも韓国の人々を癒して止まないのが、既に日本でも大ヒットとなっている『サイコだけど大丈夫』だ。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国では今、地上波だけでなくケーブルテレビやウェブなど、さまざまなプラットフォームから毎週のように新作・大作ドラマが登場している。年間110~130タイトルものドラマが放送されるため、ドラマ好きでも全てを見るのは不可能なほどだ。山のようにあるドラマの中でも、テレビ放送直後にNetflixで190か国に配信された『サイコだけど大丈夫』は、韓国だけでなく日本や東南アジアでも人気ランキング上位にランクイン。『愛の不時着』、『梨泰院クラス』に次ぐ大ヒット作となり大いに盛り上がりを見せた。

『サイコだけど大丈夫』は、2007年のデビュー以来数々のヒット作に出演し、作品選びに失敗したことがないと言われるキム・スヒョンの5年ぶりの主演ドラマ。彼の除隊後初のドラマということに加え、タイトルも中身もかなり変わったドラマとして、韓国では放送前から大きな注目を浴びていた。

 同作は、両親を失い、自閉スペクトラム症の兄・サンテ(オ・ジョンセ)を献身的に支えながらひっそりと暮らす主人公ムン・ガンテ(キム・スヒョン)が、人気童話作家のコ・ムニョン(ソ・イェジ)と出会うことで、それまで閉じ込めていた心の傷と向き合い成長し、心を癒していく過程を描いた物語。

 ガンテにとって兄は大切な存在である一方で、母の愛情を奪い自分を縛りつけてきた存在でもある。矛盾した思いを抑えながら耐え忍ぶ日々を送るガンテだったが、人の愛情を知らない冷淡なムニョンに「偽善者」と言われ、その言葉が彼を苦しめる。2人は過去にある事件でつながっており、家族の秘密が少しずつ明らかになっていく様子は背筋がぞくっとする不気味さもあり、単なるヒューマンドラマで終わらないサスペンス要素も含んだ魅力がある。

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