新型コロナウイルスの影響で生活様式が変容している。葬儀も例外ではなく、新しい常識が生まれつつある。そこで、コロナ後の葬儀について、気になる疑問を解説していこう。
Q. 親族や友人の訃報を葬儀の1か月後に知った場合は?
コロナの影響で葬儀の規模は縮小傾向にある。家族葬などが増えれば、“訃報を後から知る”ことも増えるだろう。その場合、「香典は現金書留などで送ってもいい」と葬送ジャーナリストの碑文谷創氏は語る。
「弔う気持ちを伝えたいのであれば、下手に品物を送るよりも、何にでも使える現金のほうがいいでしょう。現金書留にするなら、本来、葬儀に行った場合にかかる交通費などの分を上乗せして送るという手もあります。社会が大きく変化している以上、“手渡しでないとマナー違反”などということはありません。送るときにはお金だけではなく、手紙を添えるのがいいと思います」
Q. 親しい友人の葬儀を後から知って出席が叶わなかった。遺族を訪ねてもよい?
故人に対して手を合わせたい気持ちが生じるのは当然のことかもしれないが、葬儀・お墓・終活コンサルタントの吉川美津子氏は「家に人を招き入れることに抵抗のある人もいます。生前に家族ぐるみのお付き合いがあれば行きやすいですが、残されたご家族と顔見知りでないと行きづらいかもしれません」と説明する。
Q. 葬儀に出られず、友人と最後のお別れができなかった。気持ちの整理をどうつければいい?
コロナ後は遺族とは別に有志だけで「少人数のお別れ会」をやる例も増えているという。この夏、立て続けに3人の友人に先立たれたという元会社役員の男性(76歳)はこう話す。
「葬儀について、残された家族の意思が最優先されるのが現在の流れなのはしょうがないと思います。最近は“家族葬で済ませました”と友人の家族から後日ハガキで連絡が来ても、抵抗感がなくなりました。以前はきちんと葬儀に足を運び、最後のお別れをしなくては薄情だと思っていましたが、今はあとから訃報を知った友人だけで居酒屋に集まって、ワイワイ思い出を語り合うので十分だと思えるようになりました。“オレが逝った時も、こうやってみんなでオレを肴に飲んでくれよ”なんて言いながらね」
環境の大きな変化に伴い、見送る側の意識も、少しずつ変わってきているようだ。