近ごろ、昼間でもヘッドライトをつけて走っているクルマをよく見かけるようになった。それもそのはず、今年4月以降に販売されている新型車には、薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯する「オートライト」機能の搭載が“義務化”されたからだ。しかし、たとえ曇天でも明るい日中に、本当にライト点灯は必要なのか──。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
* * *
この春から、新型車のヘッドライトには「オートライト」機能の装備が義務化されました。また、すでに発売されている乗用車も来年(2021年)10月から「オートライト」の装備が義務づけられます。それに合わせるかのように、昼間もヘッドライトをつけて走る「デイタイムランニングライト」を装備するクルマも増えているようです。
こうした傾向に対して、違和感を持っている人が数多く存在しています。
「日中からヘッドライトを付けても意味がないのでは」
「燃費が悪くなるので嫌」
「どういう基準なのか信用できない」
などといった具合です。確かに「オートライト」機能が備わったクルマは、完全に真っ暗になる前に、自動的にヘッドライトが点灯します。また、走行中はヘッドライトを消すことができなくなります。そうしたところに不自由と考えてしまう人もいるでしょう。
「真っ暗になるまでヘッドライトをつけない」という、これまで慣れたやり方を変えるのに抵抗を感じる人、または法律による一方的な決めつけに対する不快感があるのかもしれません。そうした、モヤモヤとした部分を抱える人がドライバーにも多くいるようです。
しかし、そんなモヤモヤがあっても「オートライト」は義務化されました。その最大の理由は何かといえば、「交通事故を減らすため」です。
昔から、交通事故は朝と夕方に多いと言われています。実際に2011~2013年の警察の事故統計を調べると、朝の7時台と8時台、夕方の17時台と18時台の事故が多いことが分かっています。また、死亡時事故に限って言えば、17時台から19時までが最も多くなります。2015年の統計を見ても、やはり死亡事故は17~19時台が最も多くなります。つまり、夕方は危険な時間帯と言うのは、間違いないことなのです。
そして、夕方の事故を防ぐうえで、最も有効な手段が「ヘッドライトの点灯」なのです。