父子二代で無敗での3冠制覇となれば史上初。やはりコントレイルによるコントレイルのための菊花賞となるのか。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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ディープインパクトの菊花賞での単勝オッズは1.0倍。しかし2着が6番人気で馬連は1290円、3着は3番人気だったが、2、3着のワイドが1720円もついた。
ちなみにこの時の2着馬アドマイヤジャパンのオッズは50.3倍。このとき3番人気3着だった25.3倍のローゼンクロイツが2着だったら、馬連は440円にしかなっていない。30.2倍で4番人気だったアドマイヤフジとの組み合わせでも600円、32.9倍5番人気フサイチアウステル(ビッグ3揃い踏み!)でも760円だ。
ゴールドシップが単勝1.4倍で勝った2012年は、2着が5番人気、3着が7番人気で、馬連は960円だったが、2、3着のワイドは2660円ついている。1.6倍のエピファネイアが勝った2013年も2着5番人気、3着3番人気で馬連950円、2、3着のワイドが1900円。
今年の菊花賞はコントレイルからの人気薄の馬連と、2、3着狙いのワイドでも買って、歴史的瞬間をのんびり楽しもうじゃないか・・・・9月21日のセントライト記念を見るまでは、そう思っていた。
これまで実績を残した逃げ馬は、鼻歌でも歌いながら、きれいなフォームで軽やかに走るイメージがあったが、バビットは前半から首を大きく使い、美しい栗毛をなびかせ、時によれながらダイナミックに走る。もちろんペースは落としているのだが、常に全力でひたむきに走っているといった印象で、ついつい応援したくなる。
セントライト記念にはダービーでの伏兵馬サトノフラッグやヴァルコス、ガロアクリークが出走、夏場の成長を披露するはずのレースだった。例によって果敢に逃げたバビットだったが、4コーナーを回ったあたりで、ああ、サトノフラッグや、ガロアクリークに捕まっちゃうなあと思ったものだ。やっぱり春のクラシックを戦ったツワモノ相手では、逃げ切れないぞ、と。しかし、この馬、ラジオNIKKEI賞でもそうだったように、さらに突き放したのである。
これで4連勝ということで上位人気に推されている。
複勝は3着までに入った他の2頭の人気によって払戻金が異なるため、オッズは幅を持って表示されている。人気馬と一緒だと低い方に近くなるので、圧倒的1番人気馬が堅そうなレースでは、単勝オッズより、この数字が現実的で示唆に富んでいる。
土曜朝の段階での単勝オッズを見ると、2011年にオルフェーヴルが3冠を達成した時の構成によく似ている。オルフェは1.4倍で複勝(下)が1.1倍。2番人気がウインバリアシオンで7.4倍(複勝1.4倍)、3番人気がトーセンラーで12.2倍(同2.3倍)。10番人気からは単勝100倍を超えている。この時は結局人気通りに決まった。2、3着のワイドも740円に留まっている。なお8頭は複勝オッズ(下)が10倍以上だった。
しかし、今回コントレイル以外の複勝オッズ(下)を見ると、なんと16頭までが一桁。これはつまり2着馬3着馬が大混戦ということだ。菊花賞でいえばエピファネイアが勝った2013年が同じようなパターン。つまり前述したように、ワイドで1900円ついた年だ。
今年のダービー、神戸新聞杯もこのパターン。ダービーでは14頭が複勝が一桁で2、3着は1830円、神戸新聞杯では16頭が一桁で、複勝なんと万馬券、16520円もついている。立役者となったロバートソンキーのオッズは単勝112.7倍だが複勝は8.4-48.6倍。今回の伏兵馬だって3着に入ればまんざらではないと思える。なお複勝オッズは、レース直前までしっかり見ておきたい。