近ごろスーパーやコンビニで代用肉(フェイクミート)を目にする機会が増えている。大豆やえんどう豆などで肉そっくりの見かけや味を作り出すこのヘルシーフード。果たして本当に満足できる味なのか──。20年以上愛食しているという作家の内藤みか氏がレポートする。
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新型コロナウイルスによる自粛生活が始まった際、私は真っ先に大豆肉を通販で買い足しました。
ひき肉状のものを1kgと、薄切り肉状のものを1kg、1袋は枕ほどの大きさで、どちらも水で戻せば何倍にも膨らむので、かなりの量です。冷蔵庫や冷凍庫でこれほどの量の肉を保存するとなるとかなりのスペースを取りますが、水戻しタイプの代用肉なら常温で置いておけるので重宝しました。
この20年、代用肉は目覚ましい進歩を遂げました。昔はスポンジ状のような食感があるものもありましたが、今では大豆と言わなければ分からないくらい口当たりも滑らかで、薄切り肉タイプは脂身が載っているようにさえ見えます。肉より少し軽めの印象はありますが、味付けをすればメインの食材として十分美味しくいただけます。
代用肉と本物の肉の決定的な違い
私が大豆肉を食べるようになった理由は、体調を崩したことがきっかけで一時的にベジタリアンになったからです。野菜ばかり食べているように誤解されますが、実際はそうでもありません。豆類や雑穀類をメインにすることが多いので、便利な大豆肉を使うようになったのです。
代用肉はとても重宝しました。当時からレトルトハンバーグやミートソースなど加工されているものは、肉と大差ない美味しさもありました。とはいえ、物足りなさを感じたことは何度もありました。
かぶりついた時の、あのジュワーッと溢れる肉汁や、肉が焼ける香ばしい匂いなどは、代用肉にはありません。また、肉ならではの濃厚な味わいも得られません。代用肉は下味をつけないと無味なのです。凍り豆腐(こうや豆腐)のような薄めの味わいと言えば分かりやすいかもしれません。