柴門ふみさんの同名マンガをドラマ化した『恋する母たち』(TBS系、毎週金曜22時~以下、『恋母』)。その原作者である柴門と、脚本を手掛けた大石静さんが対談を行った。これまで数多くの恋愛作品を世に送り出してきた柴門さんと大石さんは、昨今の有名人による不倫騒動をどう見ているのだろうか? 大石さんは「台本書きながら、繁樹(玉置玲央)に柴門さんの怒りが投影されていると感じたことはあります(笑い)」と話す──。
柴門:いえいえ。繁樹(玉置玲央)のような夫への怒りや不満を持っている大勢の妻たちの気持ちを代弁しただけで(笑い)。でも繁樹のような夫の世話をしながら、不倫している女性もたくさんいますよね。
大石:いますね。バツイチの女性が妻のいる17才も年下の男と不倫に落ちる『セカンドバージン』(2010年、NHK)のときに、スキャンダラスな不倫愛や、年下の男に対する女性の欲望みたいなことがすごくセンセーショナルのように捉えられたけど、「婚外の恋」は昔からずっとあること。いつの時代も変わらない。だからこそ、昨今の不倫へのバッシングについては違和感を覚えています。
柴門:同感です。『恋母』で描かれる不倫だって、特別目新しいものではない。名作『岸辺のアルバム』(1977年、TBS系)では、日本中の男性が憧れる大女優の八千草薫さんが不倫する。衝撃的ですよね。
大石:ええ。八千草さんがラブホに行く所は、子供ながらに衝撃的でした。
柴門:平凡で幸福に暮らす妻たちが不倫によろめく『金曜日の妻たちへ』(1983年、TBS系)はもう、まさに。昔から描かれてきたことで、つまりそれだけの欲求があるってこと。なのに、いまは不倫に対する嫌悪感というか糾弾する声が異常なまでにありますね。
大石:私ね、女性とラブホテルに行ったと報じられた競泳の瀬戸大也さんだって、ラブホの後に保育園に子供を迎えに行ってるんだから、むしろ偉いじゃないですか。家庭を大事にしている証拠です。世界で一番速く泳げるという、圧倒的な才能を潰すほどのことではないと思いますね。
柴門:昔は不倫しても芸能人として箔が付いたりしましたよね?