インターネット上で勝手に画像を使用され、しかもポルノグラフィにされてしまう事例は以前から存在していたが、撮影とネット利用が手軽になるに従って被害が拡大している。その状況にストップをかけるべく、女子アスリートたちからの訴えを受ける形で日本オリンピック委員会(JOC)が実効性のある対策を目指すことが明らかになった。ライターの森鷹久氏が、競技会場で撮影した写真を「わいせつ」と受け止める目的のコミュニティに投稿し続ける撮影者の本音を聞いた。
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日本オリンピック委員会(JOC)が、女子選手が競技会場で性的な意図を持って撮影された写真や動画がネットで拡散され、そこにわいせつなコメントが付けられる「被害」があるとして対策に乗り出すとニュースサイトなどで報じられた。一般人には何が起こっているか、字面だけではわかりにくいが、関係者からは悲痛な声が漏れ聞こえる。
「競技会場での盗撮行為はだいぶ前からありました。しかし最近は、盗撮された写真や動画がネットに上げられ拡散され、より多くの人の目に晒される。ある女子大学生の競技者は、試合中に臀部の写真を盗撮され、ネット上に何十枚もアップされたことで競技自体を辞めてしまった。誰かがそういう目で見ていると思うと、競技に集中できないばかりか、常に監視されているのではないかという強迫感情にも悩まされました」
こう話すのは、ある大学スポーツの連盟関係者(50代女性)。その競技では、大会では新聞社や雑誌などのメディアのカメラマンや選手の親族などだけではなく、アマチュアカメラマンが選手を撮影する場合もある。ほとんどの場合は、競技や選手のファンだから、という理由でカメラを構えているに違いないだろう。しかし中には性的な視点から選手を盗撮しようとする不届き者も存在する。そういった人々は、昨日今日、急に現れたわけではなく、まだデジタルカメラがなかったころ、昭和の時代にもいた。だが、彼らは誰もが閲覧できる場所へ写真を投じるようなことはなかったのである。
しかし「ネット」がある今日では、盗撮者たちはまるで自慢でもしあうかのように、競って「盗撮写真」をネットに上げまくる。例えば、ネット上のとある「画像掲示板」には、女子スポーツ選手の競技中の写真、それもプレーとは一切関係のない、体の一部に寄った写真ばかりが何十枚と投稿され、閲覧ユーザーらが「素晴らしい」「もっと見たい」と投稿者に賛辞を送っているのだ。