不動産デベロッパーや住宅情報サイトなどが定期的に発表している「住みたい街ランキング」。この手のトレンド調査が出る度に大きな話題となるが、人気上昇エリアの物件は本当に“買い”なのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がアドバイスする。
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私はマンション市場についてあれこれと発言することが本業である。そして、時に一般の方からマンション購入の相談を承ることがある。
その際によく聞かれることのひとつに、「どこの街を選べばいいですか?」というのがある。かなり漠然とした質問だが、尋ねる側の本音を翻訳すると「どの街で買えば資産価値が下がりませんか?」ということである。
マンションの価格というのは、景気が良いときは上がって悪くなると下がる。景気が悪くなっても価格の下がらないマンションなどあり得ないといってもいい。ただ、市場をエリア別に中長期でみてみると「高く買ったのに半値以下になった」エリアもあれば、「高く買ったけれども高いまま」の街もある。
前者は郊外でニュータウン的に開発されたエリアで、後者は都心の人気地区である。例を挙げるなら表参道(港区)、番町(千代田区)、代官山(渋谷区)などだ。しかし、こういう街はマンションが高すぎて一般人には手を出しづらい。
そんな超一等地でマンションを買えない方は、当然ほかの街を探さなければならない。多くの人は「人気の街でマンションを買えば価格は下がらない」と考えがちだ。そこでよく用いられるのは「住みたい街ランキング」的な指標だ。