日韓関係が冷え込んでいる要因はいくつもあるが、2015年末に両国で交わされた「日韓合意」が、文在寅政権になってから事実上破棄されたことは大きい。先の合意ではソウルの日本大使館前に設置された平和の少女像(慰安婦像)を撤去することが含まれていたが、その約束は果たされないままだ。そうした中、ドイツを舞台に、慰安婦像をめぐる騒動が起きた。在韓国ジャーナリストの藤原修平氏が報告する。
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「慰安婦像」といえば、在ソウル日本大使館前に2011年12月に設置されたものが有名だが、それから9年近くの間、韓国国内だけでなく、アメリカやカナダ、オーストラリアなど世界各国に同様の像が建てられてきた。この1か月ほどは、ドイツ・ベルリン市中心部のミッテ区に新たに設置された慰安婦像をめぐる騒動に注目が集まっている。
9月28日に除幕式が行われた3日後、茂木敏充外相はドイツのハイコ・マース外相に像を撤去するよう申し入れた。それを受け、ミッテ区は像を設置した当地の「コリア協議会」なる市民団体に撤去するよう命じたが、撤去期限の前日となる10月13日、市民団体側が撤去しないよう裁判所に申請したことを受け、同区は「当面の間は、現状のままとする」と命令の執行を保留した。
これまでドイツに設置された慰安婦像は、2017年のバイエルン州ヴィーゼント市、今年3月のフランクフルト市の2例があり、ベルリンは3例目にあたる。だが、私有地に置かれたそれまでの2つと異なり、今回はミッテ区の公有地に建てられたという違いがある。
それ以上に注目すべきは、ベルリンの慰安婦像にはドイツと韓国の政治勢力が関わっていることが読み取れることだ。