国際情報

振り切ったトランプvs優柔不断バイデン 最後の戦い2州

迫力と熱狂ではトランプ氏の圧勝(Sipa USA/時事通信フォト)

 多くの日本人から見ると、アメリカ大統領選挙は「なぜ接戦なのか?」と疑問に思うかもしれない。トランプ氏の失政や失言やスキャンダルが多すぎて、今もアメリカの約半数が支持する理由がわからないという声も多い。しかし、政治はそういうものである。外から見るのと中にいるのとでは評価が違う。日本で歴代最長政権を担った安倍晋三・前首相にしても、海外では「なぜあの人が?」と言われ続けてきた。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、最終盤の情勢をリポートする。

 * * *
 大統領選挙は、投票日まで3日に迫った段階で、郵便投票を含めた期日前投票が1億に迫ろうとしている。多くの州では期日前投票が締め切られたので、残りは11月3日の投票に委ねられることになった。

 最終盤の選挙情勢を分析してみたい。ほとんどの州では大勢が決しつつあるが、最後の一騎討ちは次の激戦区だと見ていいだろう。各種世論調査を分析し、独自の平均値を算出しているReal Clear Politicsの最新リポートである。

ペンシルベニア州:49.3対45.6(バイデン対トランプ、以下同)
フロリダ州:48.4対46.8
ノースカロライナ州:48.9対46.8
アイオワ州:45.8対46.4
ミネソタ州:48.0対43.3
アリゾナ州:47.3対47.2

 いずれも接戦だが、トランプ氏とバイデン氏の勝利の条件は異なる。すでに大勢の決した各州で「まさか」の結果が出ない限り、現時点ではバイデン氏が選挙人獲得見込み数でリードしており、トランプ氏がこの選挙に勝つためには、上記の6つの選挙区すべてで勝たねばならないと考えていい。これらの選挙区は、いずれも「スイング・ステート」と呼ばれてきたところで、選挙のたびに民主党、共和党のどちらにも振れる州である。それだけ政治的には敏感で、左右どちらの支持層も中間層も政治的感度が高い。

 トランプ氏がリードしているアイオワ、自らの別荘やリゾートがあるフロリダ、ほぼ並んでいるノースカロライナ、アリゾナは、仮にトランプ氏が獲得するとしよう。問題はペンシルベニアとミネソタだ。この両州でトランプ氏が勝利することはそう簡単ではない。

 まずペンシルベニアだが、前回こそトランプ氏が勝利し、どんでん返しの舞台となった場所ではあるが、歴史的には民主党が優勢で、トランプ氏の前に共和党候補が勝利したのは1988年のブッシュ氏(父)にまでさかのぼる。北東部に位置し、フィラデルフィアという大都会を抱える同州は、やはり民主党の地盤のほうが固いと言える。しかも、バイデン氏の地元は隣のデラウェア州であり、出身地はペンシルベニアにある。世論調査の結果は僅差だが、ここでバイデン氏が負けるようだと本当にどんでん返しが現実味を帯びる。結果判明までは時間がかかる可能性もあるが、ここに注目しておくと、全体の結果も占える。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン