木村佳乃や吉田羊が不倫に溺れる妻たちを演じるドラマ『恋する母たち』(TBS系)。「カミサンの不倫なんてドラマの世界だけ」──なんて思っていたら大間違い。世の中の“恋する母”たちは、コロナ禍の中でも夫に隠れて熱い逢瀬を重ねているという。そんな妻の不貞調査を依頼された「不倫探偵」に密着した。
暑い夏がやっと終わり、少し秋めいてきた9月下旬の昼下がり。東京・山手線のとある駅前には、上品なワンピースに身を包んだ40代半ばのA子の姿があった。マスクを着用し、ゆるく巻かれたロングヘアを風になびかせている。その姿を見つけて、調査員は安堵した。かれこれ5時間近く、彼女を駅前で待っていたからだ。
「13時10分、マルタイ(調査対象者)を発見。調査を開始する。家を出た服装と同じ花柄の黒いワンピースで、白いマスクを着用。紙袋を提げている。電車には乗らずタクシー乗り場に向かう模様」
襟に付けた小さなマイクに口元を寄せ、リーダーのベテラン調査員が小さな声で報告する。コンコースを行き交う人混みに紛れながらも、A子の後ろ姿を見失わないように、調査員は尾行を開始した──。この不倫調査を行なうのは都内にある某調査会社。不倫だけでなく、人捜しなども請け負う。
5時間待ったけれど……
追跡を開始したこの日、出社のため8時に自宅を出た依頼主から遅れること5時間、黒いワンピースを着たA子が出てきた。自宅前に張り込んでいた調査員は、駅前に待機していた調査員に服装の特徴などを伝え、尾行開始。駅前に到着したA子は電車には乗らずタクシー乗り場へ向かう。調査員はそれを察知し、先回りして2台前のタクシーに乗り込むことができた。発車してすぐに路肩で停車してもらい、妻のタクシーを先に行かせる。
「自家用車で移動する対象者の調査では、常にバックミラーで後ろを確認するので気付かれるリスクが大きい。一方、タクシーの場合は客として乗った対象者が後ろを見ることは滅多にない」(調査員)