朝食は摂るべきか、摂るべきではないのか。食べる時は何から順に食べるべきか、調理法は何が良いのか……。「食」に関するさまざまな情報が飛び交うなか、米国先端医療学会理事の満尾正医師は、最新刊『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』で、老化や肥満の予防にも繋がる「理想的な食べ方」を具体的に紹介している。日々の摂取カロリーを「健康資産」に変える究極の食事術とは? 以下、満尾医師が解説する。
* * *
私はハーバード大学などで研鑽を積んだ後、日本初の抗加齢(アンチエイジング)医療の専門病院を開設しました。以後、十数年にわたり、のべ4000人ほどの患者さんに接していますが、見た目に関しても、内面についても、人は加齢とともに老いていくことは否めません。
ですが、そのスピードを速めてしまうか遅らせることができるかは、本人の努力次第でずいぶん変わってきます。では、自分の老いを遅らせることができる人はなにをやっているのでしょうか。逆説的なことを言うようですが、自分の老いとしっかり向き合っています。
目をそらせば、老いはどんどん加速します。ところが、働き盛りの人たちは、とくに内部の老いから目をそらしがちです。見た目については「いや、俺も腹が出たおっさんだよ」「私もシワだらけのおばさんね」などと笑うことはできるのに、内部について正面から認めることにはとても臆病です。
そのため、健康診断の数日前からお酒の量を減らしてみたりして、嘘の自分をつくりだしています。それによって、余計にまずい方向へ進んでしまうにもかかわらず……。大事なのは、まず今の自分の立ち位置を知ることです。
20代はどんな生活をしていても、だいたい元気で朝まで飲めますね。30代になると変化が起きて、深酒すると残るようになります。40代になると、そもそも朝までなんて飲めなくなります。明らかに体力も落ち、それにつれて免疫力も乱れてきているはずです。
だから、この頃から自分の体をきちんと見つめ、生活スタイルを見直していかないと、50代以降、大変なことになっていきます。私自身、救急医をやめた40歳前後からガクンと体力が落ちた自覚がありました。
もちろん、50歳を超えても「俺は若い」と言うのは自由です。しかし、体はそうではありません。加齢とともに徐々にではなく、ドカンとくるのが体力の波。だから「今は大丈夫」と高をくくらずに10年前倒しで健康管理するくらいの気持ちが必要です。