「八百長」に手を染め、モーターボート競走法違反に問われた元競艇選手の西川昌希被告(30)に対し、名古屋地裁は10月21日、懲役3年、追徴3725万円の判決を言い渡した。ボートレース史上最大の八百長事件を起こし、判決直後に収監された西川氏。その2日前、競艇界の知られざる実態を告白していた。
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「ボート界には今も八百長が存在します。俺の不正にも共犯者がいたし、誰が、いつ、どのレースで八百長をしたかも、具体的に証言できます」
取材に応じた西川氏は、髪を短く刈り込み、坊主頭になっていた。
事件が発覚したのは今年1月8日。名古屋地検特捜部が、「不正に順位を下げる」ことで舟券購入者に利益をもたらし、見返りに現金を受け取ったとして西川氏を逮捕した。共謀して不正に利益を得た西川氏の親族男性も逮捕されている。
競艇のレースは6艇が1周600mを3周するが、最短距離でターンできる最も内側の「インコース」が圧倒的に有利だ。西川氏は、ほぼ確実にインコースのスタートとなる「1号艇」に乗るレースで、故意に順位を下げた。“本命”が1着にならないので当然、高配当になる。共犯の親族男性は、西川氏以外が勝つ舟券を購入し、その払戻金を2人で分け合う手口だった。
「俺は逮捕された時点で(懲役に)行くつもりなので、覚悟はできています。言い訳や抵抗をするつもりはないので、控訴もしません。納得できないことは多々ありますが、すべてを受け入れます」
そう語る西川氏は判決直前に告白本を書き上げていた。11月2日に発売された『競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白』(宝島社刊)だ。3年半にわたる八百長の手口を細部まで明かしている。