奇跡のタッグが実現と謳われる作品、ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
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紫綬褒章を受章、まさしく「大物」男優の中井貴一を向こうに回して、ヒロインを演じている鈴木京香が熱い。秋元康企画・原作、テレ東の新ドラマ枠にて鳴り物入りでスタートした『共演NG』(月曜午後10時)。物語は、かつて恋人同士で今や「共演NG」の間柄という大物俳優・遠山英二(中井貴一)と女優・大園瞳(鈴木京香)が25年ぶりに共演。その対峙ぶりを面白おかしく描き出していきます。
このドラマを見れば見るほど、鈴木京香さんが「大物女優」に値することを納得する。いかに大物の条件を満たしているかといえば……。
●プロフェッショナルなボディライン
白いワンピース姿で颯爽と現れ、ぴたりと似合っているあたりが凄い。若作り・小細工をせず、美魔女的な痛々しさも感じさせない52歳。痩せすぎず、しかしきちんと絞られたボディライン。生まれつきのふくよかな顔の輪郭は、包容力・器の大きさを思わせる。等身大で堂々と勝負する姿に大物感が漂います。
●技術の上にある安定感
オープニングのソーシャルダンスからして大物の感じ。背筋も指先もすっと伸び、足の運びもスムーズ、基礎的な技術を身につけている安定感。身に付けたジュエリーは何と総額1500万円のブルガリ。それを道具として使いこなすあたりは大物の風情。
●25年前と比較されても動じない
ドラマの第一話、英二と瞳が破局した時の会見映像が流されるシーンで25年前の姿を再現してみせた鈴木さん。その若々しさ、美しさに視聴者は騒然。小物女優なら、若い自分と今の自分を対比させる映像なんてとても受け入れられないはずだが、鈴木さんはこだわりなくこなした。
● 汚れない力
やはり第一話で「うんこ野郎」というセリフを10回近く連発。どんなセリフも筋立ても、必要なら躊躇なく演じ切る。一般的に日本では、下品なワードは言った人の品格が落ちるからなかなか使わないが、鈴木さんの「うんこ」連発が、イメージ下落につながらないあたりに大物感が漂う。
●オファーの数々
今、日本の50代女優で、シリーズもの以外で連続ドラマの主役オファーが続く人はなかなかいない。ここ10年間に鈴木さんが演じた主役ドラマは『セカンド・バージン』(2010年)、『理想の息子』(2012年)、『夜行観覧車』(2013年)、『だから荒野』(2015年)、『モンローが死んだ日』(2019年)、『行列の女神〜らーめん才遊記』(2020年)。また今年は3作品続けてドラマ出演し、来年は4月スタートのNHK朝ドラ『おかえりモネ』でヒロインの母親役で出演が決定。
●大物に対峙する大物感
昨年キムタク主演で話題になった『グランメゾン東京』(TBS系)では、キムタク演じる尾花シェフと渡り合うオーナーシェフ・早見倫子を演じ、全く見劣りせず。鈴木京香あってのシェフ物語とまで感じさせる存在感で、「キムタクは主人公、他は脇」といったお定まりの構図を揺るがした。