巷では幼稚園児くらいの子供までオープニング曲『紅蓮華』を口ずさみ、映画館は劇場版アニメを観るためのファミリーでごった返している──『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴・作)が社会現象とも言えるほどのブームと化したのは、多くのちびっこたちをファンに取り込んだことが大きいのではないか。
これまで“ヒット”や“大ヒット”と言える少年漫画は多数生まれてきたが、これだけ幅広い年齢層にまで広がった作品となると、やはり『鬼滅の刃』は久々の特大ヒットと言えるだろう。
しかし、大ブームの裏で、ネット上を中心に議論されていることがある。「『鬼滅の刃』は子どもに見せるには残虐な描写が多いのではないか?」という問いについてだ。たしかに人間と鬼の死闘を描いた作品である以上、流血は避けて通れない。劇中では生首が飛び、時には人体が内側から破裂するような描写まである。主人公が家に帰ったら、家族がほとんど全員殺されていたという序盤の展開も、子供にとっては非常にショッキングなものだろう。
「子供が『鬼滅の刃』に興味を持っているが、見せていいものか迷っている」という保護者の声は多く、「残虐な描写のせいで子供が夜泣きするようになってしまった」といった声も一部にはある。
少年漫画というジャンルを振り返れば、『北斗の拳』や『ジョジョの奇妙な冒険』、『HUNTER×HUNTER』など、残虐な描写を含んでいると言われた人気作品は枚挙にいとまがない。これらも含め、未就学児が見たり読んだりするとなると、大人の側が心配するのは当然のことかもしれない。