コロナが流行して以来、日常となったのが、店や公共施設の入り口での「検温」だ。様々な体温測定機器があるが、どれほど信頼できるのか──。
「早朝に冷たい風の中を歩いた後も、夜にしこたま酒を飲んでから測っても、表示されるのは36.2℃だった。アルコールを飲めば体温が上がるのでは? これって本当に正しい体温なのか?」
50代の週刊ポスト記者が、ある商業施設にあったスマホタイプの体温計の“判定”に疑問を持ったことからこの企画は始まった。
新型コロナ感染対策として、飲食店や各種公共機関の入り口で検温されるようになって久しい。よく目にするのが、額などに近づけて測定する「ハンディタイプ」と、顔認証システムと検温モジュールを組み合わせた「スマホタイプ」だ。
来場者はこれらで体温を測定し、発熱症状があれば入場を制限される。ただし、街の声を集めてみると、正確に運用されているのか、首をかしげたくなる証言も──。
「前髪が邪魔だからということで、手首の内側を測られた。それでもOKなの?」(30代女性)
「8月、炎天下を歩いた後にスポーツジムの入り口にあったスマホタイプで測ったら、38.2℃と表示された。でもスタッフから“暑い日はみんなこうなっちゃうんで”とそのまま通された」(40代男性)
本誌・週刊ポストではこれらの疑問に答えるため、市中に出回る商品を集めて検証実験を行なった。
調査したのはハンディタイプとスマホタイプを3機種ずつ。ハンディタイプは、都内の某大手家電量販店で売れ筋上位3種(A・B・C)を選択。
スマホタイプは、AI顔認証技術の研究開発を行なっている株式会社トリプルアイズに協力を得た。同社が研究開発用に所有している中国製のスマホタイプ(D・E)2点と、比較のためトリプルアイズ社製の機器(F)の提供を受けた。中国製のD・Eはどちらも中国の大手通販サイト「アリババ」で売れ筋上位のものだ。
場所は弊誌編集部の会議室。被験者は20~60歳代の男女5人だ。同じ条件下でそれぞれ5回ずつ測定を行なった。ハンディタイプの1機種については額だけでなく、手首の測定も可能とする仕様だったため、どちらも測定した。