六大学野球の「早慶戦」は有名だが、野球に限らずスポーツでは早稲田大学の後塵を拝してきたイメージが強い慶應義塾大学。しかし2019年でいうと、個人・団体を含めて13のスポーツ分野で日本一を獲るなど、近年の躍進は目覚ましい。
肝心の野球部もここ3年間のリーグ戦で3回(2017秋、2018春、2019秋)優勝し、現在は六大学の中で随一の投手陣を誇る。日本の大学で最初に野球部を立ち上げたのは慶應であり(1888年に発足した三田ベースボール倶楽部)、その面目躍如といったところだろう。ただその一方で、
「早稲田出身の選手がプロ野球で活躍できていて、慶應が若干水をあけられていることは事実ですね」
こう語るのは自身も慶應卒、社会人の名門・JR東日本で長らく指揮を執り、2019年に野球部監督に就任した堀井哲也監督だ。
「ただプロで活躍するといっても、プロに入る時点で完成されている子、プロで色々経験することで伸びる子、上手くチャンスを掴む子など色々な条件があるので、はっきりとした理由はわからないですが……」
当事者たちの考えはどうか。理工学部卒、中日の福谷浩司投手が語る。
「確かに少ないイメージはありますね。でも僕の卒業時と比べると、昨年の郡司(裕也)たちの代は一気に4人もプロ入りするなど増えてきています。最近は慶應もプロに近いトレーニングをして強くなっているので、これからどんどん変化していくと思います」
その郡司裕也捕手(中日)が続ける。
「早稲田にはスポーツ推薦があって、最低でも超高校級が毎年4人入ります。潜在能力の差があるのは間違いないと思います」