鉄道、百貨店、不動産……様々な部門で“最大のライバル”だった2社が手を組むという関西財界に衝撃を与える経営統合から14年の月日が流れた。ブランドイメージが大きく異なる「阪急と阪神」の関係が、ついに大きな転換期を迎えている。
シーズン終了前から構想外通告が相次ぐ阪神タイガースだが、その呼び水となったのが“親会社トップ”の一言だった。
「けじめは必要。球団の管理責任は当然、問われますよね」
選手・スタッフの新型コロナ感染などを受け、球団を傘下に持つ阪急阪神HD(ホールディングス、以下同)の角和夫・代表取締役会長グループCEOは10月8日のサンケイスポーツ大阪版の1面に登場し、「具体的なことは藤原崇起オーナー(阪神電鉄会長)に任せる」としつつも、球団フロントを厳しく批判した。
この鶴の一声で、翌9日には揚塩健治・球団社長が12月1日付での辞任を電撃発表。関西財界関係者に衝撃を与えた。
阪急電鉄と阪神電鉄が経営統合して「阪急阪神HD」が誕生したのは2006年10月のこと。「村上ファンド」による阪神電鉄株買収騒動をきっかけに、関西私鉄大手のライバル同士が手を組んだのだ。
「規模は阪急が大きいが、統合以降もある程度は“阪神ブランド”が尊重されてきた。特にタイガースは、『今後10年間、阪急サイドは球団経営にかかわらない』などの条件で合意していた。それが統合から14年にして、阪急電鉄出身の角会長が口を出した。『阪急と阪神』の関係が新たな局面を迎えたのではないか」(地元紙記者)