中井貴一、鈴木京香主演で注目を集める連続ドラマ『共演NG』(テレビ東京系)。テレビ界に存在する“共演NG”を扱うという設定もさることながら、ドラマ内に散りばめられた小ネタでも話題を集めている。かつて業界ドラマの先駆者と言えば、フジテレビだった。フジが生み出した名作ドラマとは? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
* * *
みなさん、こんにちは。「中井貴一研究所」所長のペリーです。思えば昨年、このコラムでみなさんに私の長年の研究成果である「A(アクション)貴一」と「O(おろおろ)貴一」について書いてから、早一年。またしても我らが貴一はやってくれました。テレビ東京渾身の『共演NG』。
『共演NG』は、企画・原作が秋元康、演出が『モテキ』の大根仁、中井貴一の共演NGの相手役が鈴木京香。この顔ぶれを聞いただけで面白くないはずがない。そして、見たらやっぱり面白い。
元恋人でひどい別れ方をして以来、共演NGだった大物俳優・遠山(中井)と大園(鈴木)が、「テレ東」ことテレビ東洋の社運をかけたドラマ『殺したいほど愛してる』で25年ぶりに共演することに。ふたりは制作会見の場で早くも激突。ステージから引っ込んだ後の言い合いもこっそり生中継されて大騒動に。しかも、他の出演者も壊れた師弟だったとか、同じアイドルグルーブ出身で憎み合う先輩後輩とか、二枚目でキャラ被りなど、「共演NGアベンジャーズ」が揃っているため、次々バトルが勃発。撮影がちっとも進まないのだった。
このドラマの本当の楽しさは、「テレビ東京」にそっくりの「テレビ東洋」のロゴなど、そこここに散りばめられる小ネタの中にもある。特にもめまくる俳優たちに手を焼くスタッフの言葉が素晴らしい。
たとえばドラマ部長は「まあ、うちは池の水抜いたり、人んちで充電させてもらったりが専門だから」と腰が引け気味だったのに、会見の騒動後は「いやーきてるぞ、『コロ愛』」「あぶデカ、ロンバケ、逃げ恥、コロ愛、なんだかもうヒットの予感しかしないだろ」などと調子がいい。なのに視聴率はひとケタでみんなぐったり。ドラマの視聴率は初回が命、このままではドラマ枠消滅、一番怖いのはスポンサーなど、芸能界の内幕がチラホラ。まだまだ出そうだ。