日本のプロ野球でも、昔のようにエース級が毎日投げるような乱暴な起用はなくなり、投手の肩は消耗品という考え方が定着してきた。一方で、野手は一部のベテランを例外とすれば、主力は毎日出場し、できるだけ多くの打席に立ち、たくさんの安打を放つことが一流の証となる。年俸に比してたくさんの安打を打てば、球団経営的にはコストパフォーマンスの良いバッター、打てなければ悪いバッターと評価される。
もちろん野手には守備や走塁といったバット以外の貢献もあるし、特に捕手の場合はリードが一番大事という考え方もある。が、打撃があまりにも悪ければ出場機会も減ってしまうから、最も基本的な指標としては、やはり「安打のコスパ」は重要だ。プロ野球のデータに関する著書が多いジャーナリストの広尾晃氏に、年俸1億円以上の野手について、1塁打あたりのコスパを算出(10月29日現在)してもらった(下記リンクから投手編もぜひご覧いただきたい)。
1塁打あたりの年俸(すべて推定)が1000万円以上というコスパの悪い選手は、一軍出場がなかったソフトバンクの内川聖一、中日の大野奨太以外にも3人いた。巨人の小林誠司1億円(年俸1億円・1塁打)、同じく巨人の陽岱鋼2000万円(年俸3億円・15塁打)、ソフトバンクのデスパイネ1212.1万円(年俸4億円・33塁打)。小林は2度の骨折で10試合しか出場していないから厳しい数字も当然だが、捕手だということ、公傷だという点を差し引いても、出場した10試合で打率.056、1安打しか打っていないというのは寂しい。巨人は捕手陣が手薄ではあるものの、契約更改では厳しい査定が予想される。
この5人に続くのが、阪神で戦力外となった福留孝介764.7万円。さらにバレンティン757.6万円(ソフトバンク)、伊藤光678.5万円(DeNA)、炭谷銀仁朗652.2万円(巨人)、レアード456.9万円(ロッテ)。このあたりも戦力外や減俸が心配だろう。