7月に亡くなった三浦春馬さん(享年30)が12才のときに初主演した、2002年公開の映画『森の学校』が12月から全国公開されることがわかった。
わが子の才能を目の当たりにして父親が筆を折ったのは、パブロ・ピカソが10才のときのこと。モーツァルトは5才で作曲を始めていた。天才が神童と呼ばれた頃の話だ。
「春馬は“できた”んじゃない。そういうものを持っていたんだ」
そう語るのは、映画『森の学校』でメガホンを取った映画監督の西垣吉春氏。その神童ぶりは、それから18年近く経ったいまも、記憶に刻み込まれているという。
映画『森の学校』は、京都大学の河合雅雄名誉教授の小説を原作とした物語だ。戦前の兵庫県・丹波篠山を舞台に、ひとりの少年が、家族、そして友人たちとの心の触れ合いを通じて成長する一年間を追っている。三浦さんはその少年・雅雄を演じた。
子供たちの成長の早さを考え、20日間の撮影で一年間の物語を描いた。戦前の設定なので、男の子は丸刈り、女の子はおかっぱ頭が出演条件。
「どの子もそうでしたが、春馬も丸坊主を嫌がっているとヘアメイクのかたから聞いたのを覚えています。最終的にはちゃんと丸刈りになってくれましたけどね」(西垣氏)
オフのときも、当時の少年少女と同じ感覚にさせるよう心掛けたという。
「初日は皆、テレビゲームをやっていたんですよ。だから、付き添いで来ているお母さんに“ゲームはやめさせてください”って言って、あぜ道を走らせたら、田んぼに飛び込んで口に入った泥を吐いた子もいた。春馬も同じでしたね」
三浦さんは、茨城県の芸能事務所から子役としてひとり、関西での撮影に参加していた。当時所属していたつくばアクターズスタジオの加藤麻由美代表が振り返る。
「お母様の付き添いはありませんでしたが、師であり、春馬が父親のように頼りにしていた人が、ホテルに一緒に泊まって、撮影所との往復生活を支えていました」
そこで三浦さんは、天性の輝きを見せたのだという。