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トランプ籠城の理由は「借金取りと訴訟が怖いから」注目証言

久しぶりに公の場に現れても表情は険しいまま(EPA=時事)

久しぶりに公の場に現れても表情は険しいまま(EPA=時事)

 トランプ大統領は、6日ぶりに公の場に出てきたことがニュースになるほど、このところ沈黙を守っている。まるでホワイトハウスに籠城して、決して明け渡さないと無言の威嚇をしているようだ。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、ある人物からその理由を推察する有力な説を聞き出した。

 * * *
 その男を筆者はひそかにMr. Wisdom(ミスター知性)と呼んでいる。名門イェール大学の出身で、プライドが高く、普段は無口である。有名な監査法人の共同経営者で、様々な大手企業の経営に通じている。人脈も広く深い。もちろん、職務上知った企業の内部情報は決して漏らさない。たまに筆者の年金投資にアドバイスをくれるが、情報源が何であるかはこちらも聞かない。行きつけのレストランでいつも顔を合わせるので親しくなり、今では電話で雑談をするまでの仲になった。ただし、レストランで会っても、こちらから話しかけない限りはむっつりと黙って食事を口に運ぶだけである。いつも思索の海に沈んでいるような難しい顔をしているので、ひそかにMr. Wisdomと名付けたのである。

 彼はごりごりの共和党支持者だ。産業界には共和党支持が多いから何も不思議はない。コロナのせいで、なかなかレストランで会うことができないので電話してみた。聞きたかったのは、トランプ氏が大統領職にしがみついて離れようとしないことをどう見るか。彼は開口一番、「では、あなたはバイデンに何ができると思っているのか?」と反問してきた。少なくともバイデン政権が誕生することにはうんざりしているようだ。

 それからMr. Wisdomはしばらく沈黙して、突然、「ミスター佐藤、カネ、カネ、カネなんだよ!」と3度「Money」を繰り返して強調した。どういうことか?

「あなたはMBA(経済修士)だからわかるはずだ。甘やかされて育った人間というのは、カネの問題で天国にいるような心境になったり、逆にパニックに陥ったりする。トランプという男はその典型だ。いま彼が大統領職にしがみつこうとするのも、つまりはカネの問題があるからだ。大統領でいればカネがいくらでも回ったから天国だった。ところが、いまホワイトハウスを去れば地獄に落ちる。そう簡単には手放せない役得なんだよ」

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